ダンジョン探索者、鬼丸瑠璃のとっておき【前半】
「ダンジョン配信なんてしたくないよ~!」
世界各地に〝ダンジョン〟が出現してから12年。
ダンジョンは強力なモンスターが生息する危険極まりない場所である反面、未知の素材や貴重な資源に溢れている。そんなダンジョンに一攫千金を求めて挑む者を、人は〝探索者〟と呼ぶ。
そしてトラブル防止のため、ダンジョン内では全世界に向けた配信が義務付けられている。
それは16歳の少女、〝鬼丸瑠璃〟も例外ではない。
「学校の授業で先生に当てられただけで冷や汗ダラダラになる、コミュニケーション能力ゼロの私にとって配信は辛すぎる……。でもお小遣い稼ぎのためにモンスターは狩らないと」
片目が隠れるほど伸ばした青い髪に、青いパーカー。一見単なる内気そうな少女だが、その実は他の探索者を寄せ付けない圧倒的な戦闘能力を誇る怪物探索者である。
瑠璃の目の前に、唸りを上げて巨大な熊のようなモンスターが出現。新幹線に轢かれても平気という恐るべきタフネスを誇るモンスターを、
ドゴォッ!!!
跳び膝蹴り一撃で仕留める。
〝相変わらず瑠璃ちゃんすげー!〟
〝ボスモンスターだろうが瑠璃ちゃんにかかればイチコロよ〟
配信用ドローンを介して、三万人を超えるリスナーが湧き立つ。
「うぅ、たくさんの人に見られてると思うとまた具合悪くなってきました」
などとこぼしながらも、瑠璃はモンスター相手に快進撃を続けていく。
ゴブリンキングを絞め落とし、ドラゴンの頭を正拳突きで粉砕。出くわす強力なモンスターを片端から沈めていく。
〝瑠璃ちゃんつえええ!!〟
〝パワー、スピード、技術力。マジで隙がない!〟
〝貴様は逆に何を持ちえないのだ!?〟
〝コミュニケーション能力〟
〝そりゃコミュニケーション能力〟
〝コミュニケーション能力定期〟
「うぐぐぐ……ネット民の私へのイジりに鉄板パターンが生まれつつある……。でもコミュニケーション能力ゼロなのは間違いないのでなにも言い返せない……」
ぼやく瑠璃の前に、新たなモンスターが立ちはだかる。
〝なんだあの青い粘液の塊みたいなモンスター?〟
〝スライムじゃね?〟
〝違う! 見た目は似てるけど、アレは【ウーズ】!〟
〝物理攻撃が一切通らないモンスターだ!〟
〝マジで!? 物理しか攻撃手段がない瑠璃ちゃんと相性最悪じゃん!〟
〝瑠璃ちゃん逃げて~!〟
「いえ、問題ありません。属性攻撃魔法がなくても、ウーズは倒せます」
瑠璃は、無手のままウーズの元へ歩いていく。
続きは書籍購入者限定の特典SSをチェック!